メールDMは違法?特定電子メール法と特定商取引法のポイント
近年、メールでのダイレクトメール(DM)は、企業にとって欠かせないマーケティングツールとなりました。しかし、近年は迷惑メールの増加や、消費者からの反発も強まっており、法規制も厳しくなっています。今回は、メールDM配信における2つの重要な法律、特定電子メール法と特定商取引法について、詳しく解説します。
メールDMが違法になるケース
メールDMが違法となるケースは、主に以下の2つです。
特定電子メール法違反
特定電子メール法は、広告宣伝メールの送信を規制する法律です。特定電子メール法では、送信者の情報表示、同意を得た者への送信のみ許可、架空アドレスへの大量送信の禁止などが定められています。
送信者の情報表示には、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどが含まれます。送信者の情報を正確に表示しなければ、特定電子メール法違反となります。広告宣伝メールを送信するには、事前に受信者の同意を得る必要があります。
同意を得ずに送信した場合も法律違反です。また、プログラムなどで作成された大量の架空アドレスへの、広告宣伝メールの無差別な送信は禁止されています。
特定商取引法違反
特定商取引法は、通信販売などの取引における消費者の利益を守る法律です。上記の法律では、誇大広告の禁止やクーリングオフ制度など、消費者を保護する規定が定められています。
誇大広告は、商品やサービスの性能や効果を実際よりも優れているような表示を禁止しています。クーリングオフ制度は、通信販売で購入した商品やサービスについて、一定期間であれば無条件で契約を解除できる制度です。
それぞれの法律に違反するとどうなる?
特定電子メール法・特定商取引法違反の罰則について詳しく解説します。
特定電子メール法違反
まず、送信者情報の正確表示義務違反です。送信者情報とは、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどを指します。送信者の情報を正確に表示しなければ、最高で1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
次に、架空アドレスへの送信命令違反です。架空アドレスに大量の広告宣伝メールの送信は禁止されています。違反した場合、総務大臣または消費者庁長官から、架空アドレスへの送信を禁止する命令を受けられます。
命令に従わない場合は、最高で1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。また、受信拒否者への送信も禁止されています。一度拒否の意思表示をした受信者に対して、同意を得ない広告宣伝メールの送信も違法です。
違反した場合、最高で100万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに、その他の違反もあります。たとえば、同意記録の保存義務違反や表示義務違反などです。これらの違反に対しても、最高で100万円以下の罰金が科される可能性があります。
特定商取引法違反
まず、請求・承諾なしの電子メール広告送信です。消費者の請求や承諾を得ずに、電子メール広告を送信することは禁止されています。違反した場合、最高で100万円以下の罰金が科される可能性があります。
次に、拒否者への電子メール広告送信も禁止されています。一度拒否の意思表示をした消費者に、電子メール広告の送信は違法です。違反した場合、最高で100万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、記録保存義務違反も罰則の対象です。消費者から広告メールの停止を求められた場合、その旨を記録し、保存が義務付けられています。違反した場合、最高で100万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、虚偽・誇大広告も禁止されています。商品やサービスの性能や効果について、実際よりも優れているように表示することは違法です。違反した場合、最高で1年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性があります。
最後に、法人の場合は、行為者だけでなく法人自体にも罰則が科されます。特定電子メール法違反の場合、法人に対して最高で3000万円以下の罰金が科される可能性があります。特定商取引法違反の場合、最高で100万円以下の罰金が科される可能性があります。
法令遵守したメールDMを配信するには?
DM配信は、顧客とのコミュニケーション手段として非常に有効なツールですが、法令を遵守せずにDM配信をおこなうと、トラブルに発展する可能性があります。法令遵守したDM配信を実現するための、6つのポイントについて詳しく解説します。
送信者情報を正確に表示する
送信者情報の正確な表示により、受信者は送信者を特定し、必要に応じて連絡ができます。また、法令違反のリスクを低減し、顧客との信頼関係を築くことができます。
受信者の同意を得てから送信する
広告宣伝メールを送信するには、事前に受信者の同意が必要です。同意を得ずに送信した場合、特定電子メール法違反となります。同意を得る方法は、主にオプトイン方式が採用されています。オプトイン方式を採用する場合は、同意の意思表示を明確にし、同意の撤回を容易にするなどの配慮が必要です。
架空アドレスへの送信は避ける
プログラムなどで作成された架空アドレスに広告宣伝メールの送信は禁止されています。架空アドレスへの送信を避けるには、送信先アドレスの有効性を確認するなどの対策が必要です。
誇大広告はおこなわない
商品やサービスの性能や効果について、実際よりも優れているような表示は禁止されています。誇大広告をおこなうと、消費者を欺き、トラブルに発展する可能性があります。誇大広告を避けるためには、誇張せず正直で客観的な表現を使用するなどの配慮が必要です。
クーリングオフ制度について明記する
通信販売で購入した商品やサービスについて、一定期間であれば無条件で契約を解除できる制度です。クーリングオフ制度についての明記は、消費者の権利を保護し、トラブル防止に重要です。
まとめ
メールDMは企業にとって重要なマーケティングツールとなっていますが、法律違反や消費者からの反発を避けるためには、特定電子メール法や特定商取引法の遵守が必要です。とくに、送信者情報の正確表示や受信者の同意を得た上での送信、架空アドレスへの送信の禁止などが重要です。誇大広告やクーリングオフ制度の明記も忘れずにおこないましょう。